ファイターズ練習試合

野村監督時代、野村語録では野手の遠くに飛ばす能力と肩の強さと足の速さは生まれ持ったもので、プロ入り後に身につく物ではない。だからそういった一芸に秀でた選手をスカウトは獲得しなくてはいけないなんて散々口にしていたの記憶してます。それだけ暗黒時代の阪神は他球団と比べても身体能力で劣る選手ばかりだったのでしょう。

思い返してみて阪神タイガースで一芸に秀でた選手で誰がいたかとなると、まずは足の赤星と赤松。肩の強さでいえば新庄くらいで飛ばす能力でいえば新庄と桜井に林くらいでしょうか。

どの選手もプロに入ってくるくらいなのでアマではずば抜けた身体能力だったのでしょうが、化け物ばかりを集めたプロの世界でも埋もれない一芸はなかなか持てるものではないのでしょう。しかも野球は打って投げて走るスポーツ。一芸が秀でてるだけでは駄目で走攻守でそれなりにこなせなくては試合に使ってもらえません。例えば曽我部はかなりの強肩で高波はかなりの俊足、森田には長打力はありましたが他がサッパリだったので残念な結果で終わってしまっています。

当然他の芝生が青く見えるのもあるのかもしれませんが、他球団とくらべても阪神には小粒な選手ばかりで・・なんてずっと思っていると、あれよあれよと近年のドラフトで楽しみな選手を獲得し、特に最近のスポーツ新聞では横田や陽川、江越が打撃で紙面を賑わしています。そんな楽しみな選手がスタメンで（横田は高知の２軍試合）日本ハムとの練習試合に出場しました。

さてスタメンは

１　江越（センター）

２　大和（ＤＨ）

３　上本（セカンド）

４　伊藤（レフト）

５　梅野（キャッチャー）

６　陽川（サード）

７　中谷（ライト）

８　西田（ファースト）

９　北條（ショート）

とほぼベストメンバーのハムと比べて殆ど鳴尾浜メンバーとなりました。

まずは江越。トリプルスリーを狙える身体能力との触れ込みでシート打撃でも島本から本塁打を放っていたので楽しみに見ていたのですが、結果が欲しかったのか緊張していたのか少し地に足がついていないような打撃。解説は強く振れてるだけでも大したものなんて言っていましたが、そこまでのスイングには見えませんでした。打席の雰囲気も昔いた藤原かと思うくらいで、とても強烈な打球を放ちそうには思えなかったのですが、まぁプロと初対戦ですし今後に期待しましょう。

次に長距離砲としてサードのスタメンを奪いにいく陽川。真ん中高めの直球を弾き返し強烈なツーベースは放ちましたが、凡退した打席の変化球の対応を見る限りもう少し時間はかかりそうでした。スライダーに対して振り遅れて根元に当たるファールを放つようではタイミングが全くとれていない証拠。それでも一気にレフトの横を破っていった打球は魅力で同様に今後に期待です。

相変わらずだったのは大和のポップフライ連発に伊藤の打ちそうな雰囲気からの凡退。上本は良い意味での安定した打撃の良さ。やはり打席での落ち着きや雰囲気では上本と今成は他の鳴尾浜メンバーと比べて抜けてましたね。梅野も昨年それなりにやれたので２年目どれくらいの上積みできるか。

西田はタイムリーを放ちましたがバットを短く持って当てていくスイングの左打者としては守備走塁が全く物足りません。打撃センスはありそうなのですが、坂ほど打てる訳でも守れる訳でもないので一軍に登録されることは無さそうというのが印象。

北條はショートの守備を無難にこなし、打席でもそれなりに対応していました。無安打で終わりましたがボールをよく見れていましたし、追い込まれてからもセンターフライでしたが強いスイングが出来ていました。２遊間を守れる若手が北條とルーキーの植田くらいしかいないので、今年とは言いませんが、数年後には一軍のスタメンを張っていることでしょう。

さてそんな中で私が目を引いたのは５年目の中谷。初回の西田のトンネルからの本塁への送球はかなりの強肩でした。２塁走者がリーグ最速の西川だったのでクロスプレーにはならず目立ちませんでしたが、間違いなくプロでも強肩の部類に入るものでした。更に打席での雰囲気、スイングは一軍でも長距離砲のもので結果無安打で交代となりましたが２軍でくすぶってる選手でありません。今シーズンかなり注目したいと思います。

それにしてもファイターズの選手は凄かったですね。大谷のインコースを引きつけての逆方向への本塁打にする技術。陽の低めストレートのボール球をバックスリーンまで運ぶパンチ力。西川のバットコントロールに足。全て規格外です。更に全日本の４番の中田に大リーグ帰りの田中がいるのですからね。あと近藤って選手。初めて知りましたが伊藤より余裕で上の打撃をしていましたね、羨ましい。